情報の値段:論文誌出版社を学者がボイコット

2012年02月14日 #
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1ご冗談でしょう?増田さん:2012/02/11(土) 18:32:41.00 ID:edSc5R9pxF

2012年2月4日

The Economist

雪崩は、たった一粒の小石によって引き起こされることもある。

1月21日、ケンブリッジ大学の数学者 Timothy Gowers が、

長年に渡ってエルゼビア社の論文誌をボイコットしている理由について、ブログに書いた。

オランダに本社を置く同社は、一流誌 CellLancet をはじめとする2000件の定期刊行誌を所有している。

ノーベル賞の数学版とされるフィールズ賞を受賞した Gowers 博士は、この状況を望ましくないと考え、

今回のブログ記事が他の学者もボイコットに参加するきっかけになれば、と望んでいた。

実際、それが起こった。

Gowers のブログに感化されて、数学者 Tyler Neylon がオンライン署名サイトを設置し、

そのサイトを通じて研究者2700人以上(訳注:日本語訳執筆時点では5300人以上)が署名し、

自分の研究をエルゼビアの論文誌に投稿せず、エルゼビアに投稿された論文を査読せず、エルゼビアの編集作業にも協力しない、と誓約した。

その数は、数学者の表現を借りるならば、指数的に増大している。

実効性をともなっていくとすれば、大出版社にとってこれは、革命をつきつけられたようなものである。

Gowers 博士の非難は3点に集約される。

第一点として、エルゼビアの製品の料金は高すぎるということ。

第二点として、論文誌の「抱き合わせ」が広く行われているために、図書館はある論文誌を購読しようとするとき、興味のない他の論文誌もセットで買わなければならないこと。

第三点として、公的資金による研究に対して政府がフリーアクセスを要求することを禁じる法案(たとえば米国議会で審議に入る Research Works Act など)を支持していること。

エルゼビア側によれば、これは誤解を招く言い方だと言う。

同社の経営状態はたしかに、よすぎるほど良好である。

2010年には、20億ポンドの収益に対して7億2400万ポンド(11億6000万ドル)の利益を得た。利益率は36%。

しかし、同社の Director of global academic relations の Nick Fowler は、

この料金は業界の平均的な額であり、ここ数年の値上げ幅は他社より低いとしている。

Fowler 博士によれば、人もうらやむエルゼビアの利益率は、同社の効率的な経営の結果以外のなにものでもないという。

Neylon 博士による動議は、より広い文脈での学者と出版社の衝突の表れのひとつと見ることができる。

その衝突は、オンライン出版の台頭によって、ますます鮮やかに描き出されてきた。

学者は情報の自由と流動性に重きを置く文化に属しており(そもそも論文の査読と編集を無償で行っており)、

商業出版社との付き合いには、これまでも難渋してきた。

出版社は情報へのアクセスに課金して利益を最大化しようとする組織であり、

同時に権威ある論文誌の(すべてではないにしろ)ほとんどを掌握しているからである。

一触即発の状況は長年続いていた。

2006年には、 エルゼビアが出版する数学論文誌 Topology の編集委員会の全員が、アクセスの囲い込みと料金高騰への懸念を表明して辞任した。

ドイツの出版社シュプリンガーによる論文誌 K-theory の編集委員会は2007年に解散した。

多くの人は、ことが荒立てられるまでにこれほど長くかかったことに驚いている。

学者はインターネットをもっとも早く取り入れた人々であり、

出版社をそのサイクルから追い出すことができる環境は十分に整っていた。

実際、商業出版の代替物をつくろうとする動きは何度か起こった。

コーネル大学のウェブサイト arXiv (X はカイの音のギリシャ文字を模しており、「アーカイブ」と発音される)は1991年にできた。

研究者は、まだ論文誌で出版されていない物理学の論文をそこに投稿することができ、

日々数千件を越える論文が投稿されている。

Public Library of Science (PLoS) は2000年にできた。

そこでは生物学と医学の分野で7つの論文誌が出版されている。

こうした動きへの熱意があったにも関わらず、伝統的な出版社の支配が続いたことには理由がある。

arXiv の論文は、公開後に容赦ない批判にさらされることは確かなものの、投稿前に正式なピアレビューは行われない。

したがって品質はまちまちである。

PLoS は一部を寄付金でまかないながらも、論文1件あたり2900ドルの掲載料を課す。

これは著者の負担となり、金策に悩む大学にとっては無視できない金額である。

少なくなりつつあるとはいえ、電子版のみの出版に対する偏見もある。

ウェブ出版は紙よりも権威が低いと見なされがちなのである。

こうしたことが重要なのは、大学と個々の研究者が、出版した論文の数と掲載された論文誌の名声に応じて評価されるからだ。

ともすれば新しい道具に挑戦することが期待される若手研究者は、その前に既存の権威ある論文誌で出版しなければならない。

さもなければ、発言力もなく昇進もない。

そして、新しい論文の採録を決める権限が権威の高い論文誌にあるために、「権威」の定義は少しずつしか変わらない。

商業出版社は、たとえば読者ではなく著者から料金をとるなどといったオープンアクセスのアイデアを試そうとしている。

しかしボイコットが広まっていけば、ことは急激に進展する可能性もある。

けっきょくのところ、学者が出版社を必要としている以上に、出版社には学者が必要なのである。

突然失脚する直前まで、えてして体制側は無敵に見えるものだ。

来たる学術の春にはご用心を。

1001以下、増田にかわりまして管理人がお送りします:2012/09/23(日) 04:57:31.00 ID:???

掲載元スレッド:http://anond.hatelabo.jp/20120211183241

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